盛岡発10時26分秋田行き、秋田新幹線こまちに飛び乗った。
奴が角館に居ると情報がは入ったからだ。
角館には11時16分着・・・直ぐに見つかるといいが・・・。
こまちはには、初めて乗ったが、田園風景の中を、新幹線にしてはゆっくり進んだ。
きっと、雪のせいもあるだろうけど、民家が近く防音壁も無いからだろう。
しばらく走ると、秋田駒ヶ岳が見える。
駒ヶ岳の尾根は雪をまとい、なんとも美しい容姿していた。
角館に着いて、駅員に奴の写真を見せた。
「この人を見ませんでしたか?」
駅員はしばらく考えて、
「あ〜見ましたね、確か昨日の・・お昼頃だったかな〜ちょっと待って下さい」
と言って、時刻表を見た。
「あっこれですね〜12時12分着の、こまちでおこしですね。間違いないです。」
「そうですか、一人でしたか」
「ええ一人でしたね」
「どちらに方面に行ったか分かりませんか?」
「いや〜そこまでは・・でも、角館に来る人は、まずは武家屋敷に行きますね」
「そうですか・・・武家屋敷ね〜?すぐですか?」
「ええ、歩いて10分くらいですよ。」
そうか〜まずは、武家屋敷に行ってみよう。
「ありがとうごいました。」
と、お礼を言って雪道を武家屋敷に向かった。
この時期に、武家屋敷を見に来る人は、さすがに少なくて閑散としているが、時折少人数の団体を連れたガイドさんが、屋敷の説明をしている姿があった。
やはり桜の季節が一番なんだろうな。
気が付けば、昼飯も食べておらず、腹の虫が鳴った。
武家屋敷の通りのうどん屋に入って、山菜うどんを注文した。
うどん屋の主人にも写真を見せた。
「この人を見てませんか?」
「ん〜?見てませんね〜」
「そうですか〜」
「この人がどうかしたんですか?」
「探しているんです」
これ以上は言いたくない、言えないのだ。
「お客さんは警察の方?」
「え〜ま〜」
うどん屋の主人は、察したらしく、これ以上は何も聞いてはこなかった。
外に出たら、雪がハラハラと降ってきた。
とりあえず、武家屋敷などで聞き込みをした。
屋敷の中を見学させてくれる武家屋敷もあるが、冬は閉じている屋敷も多い。
青柳家や石黒家など上級の武家屋敷で、聞き込みをしたが、満足な情報は得られなかった。
猫の看板がふと気になって、中に入ったら、猫物が沢山!
優しそうなおばさんが、奥から出てきて「どうぞ、見てってください」と言ってくれた。
丁度ひな祭りの最中で、店には雛人形が飾ってある。
聞けば、彼方此方のお店で飾ってあるという。
それを見に来る、観光客も多いそうだ。
大正時代に建てられた、この建物は釘が一本も使われていなくても、昨年の3.11の地震でも全然平気だったらしく、飾ってある商品も数個しか、落ちてなかったという。
昔の日本家屋はたいしたもんだと思った。
気が付けば、夕方5時近くになっていた。
最後に、駅前の旅館で聞き込みをしたら、2件目で奴が宿泊した旅館が見つかったが、今日の朝にはチェックアウトをしたらしい。
「どんな様子でしたか?」
「別にこれといって変わったことは・・・でも少し疲れていたような・・」
「1人でしたか?」
「え〜一人でしたね」
「どこに行くとか言ってませんでしたか?」
「そういえば、田沢湖の事を聞かれましたね〜」
「田沢湖か・・・」
今から田沢湖に行っても、何もできないだろう。
今日はここに宿泊する事に決めた。
翌日は、角館発東京行8時45分のこまちに乗り、田沢湖には9時に着いた。
田沢湖駅の駅員に聞き込みをしたが、分からないと言う。
駅構内にある、観光案内所のおばさんに聞いたら覚えていた。
「ええ、覚えているわ、確か田沢湖行と、乳頭温泉への行き方を聞かれましたわ」
「誰か一緒でしたか?」
「いえ〜一人でしたよ」
とりあえず田沢湖に行こうと思った。
田沢湖には、乳頭温泉行のバスに乗り、15分程で着いた。
田沢湖は、日本一深い湖で冬でも凍ることはないらしい。
しかし、なんとも綺麗な湖だろう・・こんな蒼い湖は見たことがない。
仕事で来てなければもっとゆっくり出来るだろうに・・・。
バス停脇の土産屋のおばさんに、聞き込みをした。
「あ〜この人、昨日見たわ」
「どこか行くと言ってませんでしたか?」
「乳頭温泉に行くと言ってましたよ。」
「そうですか・・・」
「鶴の湯はいいですか?と聞かれて、え〜疲れが取れるわよ〜って答えたわ。」
「鶴の湯ですか」
「そこのバス停から、アルパこまくさまで行くと、鶴の湯の送迎バスが出てるから、それに乗るといいわ」
アルパこまくさまでは、カーブカーブの登り坂で、田沢湖と秋田駒ヶ岳が一望できて、とてもいい眺めだ。
乳頭温泉郷鶴の湯は、ランプの宿で有名で、全国から温泉好きが来る。
こんな真冬の時期でも、たくさんの人で賑わっている。
いやこんな時期だから、余計に人が来るのか?
きっと雪見温泉がいいのだろう。
乳頭温泉の受付で聞き込みをした。
「ええ、この人なら昨日泊まってましたよ。」
「まだ居ますか?」
「いえ〜、今日の9時にはチェックアウトしましたね〜」
「どこに行ったか分かりませんか?」
「たしか〜湯めぐり帖を買ってたから、まだ乳頭温泉のどこかに居るかもしれませんね」
「湯めぐり帖ですか?」
「湯めぐり帖っていうのは、1500円で売ってて、それがあれば7件の温泉に入れる手帖です。お得なんです。」
乳頭温泉郷の一つ、蟹場温泉に着くと宿のご主人に聞いた。
どうやら、今温泉に浸かっているらしい。
奴は雪見温泉に浸り、空を見上げていた。
「西村京太郎、十津川警部シリーズ」風な感じで、ブログってみました(笑)